Google広告をECで始める|初期設定と予算の決め方

「広告でアクセスを増やしたいけれど、Google広告って何から手をつければいいの?」——管理画面を開いてはみたものの、聞き慣れない言葉と設定項目の多さに、そっと閉じてしまった方も多いのではないでしょうか。でも大丈夫です。ECで使う広告は、種類も始め方もパターンが決まっています。この記事では、広告未経験のEC担当者の方に向けて、使うべき広告タイプ・初期設定の流れ・予算の決め方・計測の入れ方まで、最初の一歩を一緒に確認していきましょう。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- ECで使うGoogle広告は主に検索・P-MAX・ショッピング・リマーケの4タイプ。まず役割の違いを押さえる。
- 予算は感覚ではなく損益分岐ROASから逆算。「いくらまで広告費に使えるか」を先に決める。
- 始める前にコンバージョン計測(CV設定)を必ず入れる。これがないと、効いたかどうか判断できない。
そもそもGoogle広告で何ができる?ECで使う4タイプ
Google広告と一口に言っても、出る場所も役割も違う複数の種類があります。すべてを覚える必要はありません。ECでまず押さえるべきは、検索・P-MAX・ショッピング・リマーケの4タイプです。それぞれ「どんなお客さまに、どのタイミングで出るか」が異なります。下の表で、役割の違いをざっくりつかんでください。
| タイプ | どこに・誰に出るか | 向いている目的 | 始めやすさ(目安) |
|---|---|---|---|
| 検索広告(リスティング) | Google検索結果の上部。商品名や用途で「今探している人」に出る | 購入意欲の高い人を捕まえる | 高い(少額から) |
| ショッピング広告 | 検索結果やショッピングタブに、商品画像+価格付きで出る | 商品そのものを見せて選んでもらう | 中(商品データ登録が必要) |
| P-MAX(P-MAXキャンペーン) | 検索・YouTube・Gmail・ディスプレイなどGoogleの全面にAIが自動配信 | 幅広く配信して機会を最大化 | 中(設定はAI任せ・素材が要る) |
| リマーケティング | 一度サイトに来た人に、他サイト閲覧中などに再表示 | 離脱した人をもう一度呼び戻す | 中(タグ設置が必要) |
イメージとしては、検索広告は「指名されて出る待ち伏せ型」、ショッピングは「商品を陳列して見せる型」、P-MAXは「AIにお任せで幅広く撒く型」、リマーケは「来てくれた人を追いかける型」です。これらは競合するものではなく、役割分担して組み合わせていくもの。とはいえ最初から全部に手を広げると、予算も管理も追いつきません。立ち上げ期は、購入意欲の高い人に直接届く検索広告か、商品画像で勝負できるショッピング広告のどちらかから始め、慣れてきたらP-MAXやリマーケを足していくのが王道です。以下、始め方を順番に深掘りしていきます。
初期設定の流れ:アカウント開設から配信まで
「設定が難しそう」という不安は、流れが見えれば半分は消えます。Google広告を始めるまでのステップは、大きく次の順番です。期間はあくまで目安。焦らず上から進めてください。
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1. Google広告アカウントを開設する
GoogleアカウントでGoogle広告に登録します。途中で「キャンペーンを作る」流れに誘導されますが、いったんスキップして「エキスパートモード」に切り替えると、後から細かい設定がしやすくなります。会社情報と支払い情報(クレジットカード等)を登録すれば、器は完成です。
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2. コンバージョン計測を先に入れる
配信を始める前に、必ず「購入が発生したら記録する」設定を入れます。これが無いと、後で「広告が効いたのか」がまったく分かりません。詳しくは後述しますが、順番として配信より計測が先、と覚えておいてください。
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3. キャンペーンタイプを選んで作る
検索・ショッピング・P-MAXなど、目的に合うタイプを1つ選びます。ショッピングやP-MAXで商品を出す場合は、別途Google Merchant Centerに商品データ(画像・価格・在庫等)を登録し、広告アカウントと連携します。検索広告だけなら、この登録は不要です。
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4. ターゲット・キーワード・予算・入札を設定する
誰に出すか(地域・キーワードなど)、1日の上限予算、入札方法を決めます。最初は1日の上限予算を低めに設定し、使いすぎを防ぎます。入札は迷ったら「コンバージョン数の最大化」など、目的に沿った自動入札から始めると無難です。
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5. 広告文・素材を用意して審査に出す
検索広告なら見出しと説明文、ショッピング・P-MAXなら商品画像やテキスト素材を入れます。入稿すると審査が入り、承認されれば配信開始です。審査には時間がかかることがあるので、開始したい日から余裕をもって入稿しましょう。
ここまで来れば、あとは数字を見ながら調整していくフェーズです。最初の設定で完璧を目指す必要はありません。少額で配信を始めて、反応を見ながら直していくのが正しい進め方です。
予算の決め方:損益分岐ROASから逆算する
広告で多くの人がつまずくのが、この「いくら使えばいいの?」です。ここを感覚で決めてしまうと、「売れているのに利益が残らない」という事態になりがち。大事なのは、「広告費はいくらまで使っても利益が残るか」を先に計算してから予算を組むことです。その物差しになるのが損益分岐ROASです。
ROAS(ロアス)とは「広告費に対して、何倍の売上が返ってきたか」を示す指標で、ROAS=広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100(%)で計算します。たとえば1万円の広告費で5万円売れたらROASは500%。そして損益分岐ROASとは、「これを下回ると赤字になる」というギリギリのラインのことです。
損益分岐ROASの考え方(数値はすべて目安の例)
まず、商品が1つ売れたときに「広告費に回せるお金(=粗利)」がいくらあるかを考えます。
例:商品の販売価格 5,000円、原価・送料・手数料など 3,000円とすると、1つ売れて手元に残る粗利は 2,000円。つまり、1件の購入を得るのに広告費を2,000円までかけても、トントン(損益分岐)です。
これをROASに直すと、損益分岐ROAS = 販売価格 ÷ 粗利 × 100 = 5,000 ÷ 2,000 × 100 = 250%。
つまりこの商品なら、ROASが250%を上回れば黒字、下回れば赤字という線が引けます。利益をしっかり残したいなら、目標ROASは損益分岐より高め(例:350〜400%)に設定します。
1日の予算は、ここから逆算します。「1件の購入にかけられる広告費(許容CPA)」が2,000円、1日2件の購入を目指すなら、1日予算の目安は4,000円前後。「全体でいくら」ではなく「1件あたりいくらまでなら黒字か」から考えるのがコツです。
もちろん、これは利益計算をシンプルにした考え方で、実際にはリピート購入や顧客の生涯価値(LTV)まで含めて判断することもあります。ただ、まず最初は「損益分岐ROASを知り、それより高い目標を置く」だけで、予算の決め方が一気に地に足のついたものになります。感覚で増減させるのではなく、この物差しに照らして「続ける・止める・寄せる」を判断していきましょう。
計測(コンバージョン設定)を最初に入れる
前のステップでも触れましたが、ここはあらためて強調させてください。コンバージョン計測(CV設定)は、配信を始める前に必ず入れる——これがGoogle広告で失敗しないための、いちばん大事な前提です。コンバージョン(CV)とは「購入完了」など、広告のゴールとなる行動のこと。これを計測できて初めて、「どのキーワード・どの商品が、いくらで何件売れたか」が見えるようになります。
- 計測がないと、ROASも損益分岐も判断できない……何件売れたかが分からなければ、せっかく計算した損益分岐ROASも使えません。クリック数だけ見ても、利益が出ているかは分からないのです。
- 自動入札はCVデータを栄養にして賢くなる……Google広告の自動入札は、コンバージョンのデータを学習して配信を最適化します。計測が無い=AIに学習材料を与えていない状態で、本来の力を発揮できません。
- 後から入れると、それまでのデータは取れない……「配信してから計測を入れよう」とすると、入れる前の期間のデータは永久に分かりません。だからこそ最初に、なのです。
設定方法は大きく2通りあります。1つはGoogle広告の「コンバージョン」設定からタグを発行し、購入完了ページに設置する方法。もう1つは、GA4(Googleアナリティクス4)で計測している購入イベントを、Google広告に取り込む(インポートする)方法です。すでにGA4で購入を計測しているなら、後者のほうがスムーズなことが多いです。ShopifyやBASE、楽天などでは、それぞれ連携の手順が用意されているので、利用中のカートやモールの公式ヘルプを確認しながら進めましょう。「購入完了が1件、正しくカウントされるか」をテスト購入などで確認できれば、計測の土台は完成です。
最初の運用と改善:少額で始めて寄せていく
計測と予算の準備ができたら、いよいよ配信です。ここでの心構えはひとつ、「最初から当てにいかない」こと。広告は、出してみないと何が反応するか分かりません。だからこそ、少額で始めてデータを集め、反応のあったところに寄せていく——この繰り返しが運用の本体です。
① 少額で配信を始める
いきなり大きな予算をかけず、1日数百円〜数千円といった無理のない額からスタート(金額は商材や媒体によって変わる目安です)。少額でも、どの語句・どの商品が反応するかのデータは取れます。
② 1〜2週間はいじりすぎない
配信直後は数字が安定しません。自動入札の学習期間もあるため、毎日いじって判断するより、まずは一定期間データを溜めてから見るのが基本です。
③ 反応した語句・商品に寄せる
CVが取れた(=購入につながった)キーワードや商品に予算を寄せ、反応のないものは絞る・止める。損益分岐ROASを物差しに「続ける/止める」を判断します。
④ 着地ページもセットで見る
クリックされても購入されないなら、原因は広告より商品ページ側かもしれません。価格・送料・購入ボタンがすぐ見えるかなど、着地ページも合わせて見直します。
改善のサイクルは、難しく考えなくて大丈夫です。「測る → 損益分岐ROASと比べる → 黒字の方へ寄せる」を、月ごとに淡々と繰り返すだけ。最初の1〜2か月は学習期間と割り切り、データが溜まってから本格的に寄せていく——この長い目が、広告で消耗しないための一番のコツです。
⚠️ 始めたばかりの時期に注意したいこと
配信開始直後の「数日でCVゼロ」を見て、慌てて予算を増やしたりキャンペーンを作り直したりするのは禁物です。データが溜まる前の判断は、当てずっぽうと同じ。また、1日上限予算を必ず設定し、想定外に使いすぎないようにしておきましょう。自動入札に任せる場合でも、上限のフタは自分でかけておくのが安心です。
つまずきポイント:失敗を避けるために
EC参謀でよく見かけるのが、「計測を入れずに配信を始めてしまった」ケースです。アクセスやクリックは増えたのに、購入につながったかが分からず、「なんとなく使った広告費」だけが残ってしまう——これは本当にもったいない失敗です。配信より計測が先、を徹底してください。
もう一つは、予算を感覚で決めてしまうパターン。損益分岐ROASを知らずに「とりあえず月10万円」のように始めると、売れていても利益が残らない状態に気づけません。さらに、始めてすぐに結果を求めて、頻繁にいじりすぎるのもありがちです。自動入札には学習期間があり、毎日設定を変えると学習がリセットされ、かえって安定しません。「正しく測れているか」「損益分岐から予算を組めているか」「学習期間を待てているか」——この3点を、まず落ち着いて確認しましょう。
よくある質問
Q. 月いくらから始められますか?
A. Google広告に最低出稿額の決まりはなく、1日数百円といった少額からでも始められます。ただし、あまりに少額だとデータが溜まるまで時間がかかり、判断材料が増えにくい面もあります。目安としては、まず「1件の購入にかけられる広告費(許容CPA)」を損益分岐ROASから計算し、その数件分を1日予算に置くイメージで始めると、ムダなく学習を進められます。金額そのものより、「黒字になる範囲で続けられるか」を基準に考えてみてください。
Q. 4タイプ、最初はどれから始めるべきですか?
A. 立ち上げ期は、欲張らず1つに絞るのがおすすめです。商品名や用途で検索されることが多い商材なら、購入意欲の高い人に直接届く検索広告から。見た目で選ばれる商材で、Merchant Centerへの商品登録ができるならショッピング広告から始めると、画像で勝負できます。P-MAXは幅広く配信できる反面、AIに任せる比重が大きく素材も要るので、検索やショッピングで感覚をつかんでから足すのが安心です。リマーケは、一度サイトに人が来るようになってから効いてきます。
Q. 始めてからどれくらいで成果が出ますか?
A. 配信そのものは審査を通れば当日から始まりますが、自動入札の学習や、どの語句・商品が反応するかのデータが溜まるまでには、一般的な目安として1〜2週間ほどはかかります。最初の1〜2か月は「データを集めて寄せていく学習期間」と捉えるのがおすすめです。すぐに大きな成果を求めて頻繁にいじるより、損益分岐ROASを物差しに、黒字の方へ少しずつ寄せていくほうが、結果的に早く安定します。
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